職務質問を受けがちな奴っているんでしょう。その時の状況や場面にもよるところが大きいのでしょうけど、これまでの人生かなり多めだと感じています。どちらかと言えば、明らかに人畜無害寄りの人相と風体をしていると思っているのですがねぇ。最近のこと、深夜ではありましたが、最寄りの駅から自宅までの間に三度、職質を受けたことがありました。さすがに、三度目だと告げられた警察官と私は顔を見合って苦笑するしかありませんでした。

在日アメリカ大使館

アメリカ大使公邸に招待されたことがあります。アメリカ大使館は港区の赤坂と虎ノ門の間、広大な敷地にあり、大使公邸はアメリカ大使館と地続きではあるけれど、正門は別になっています。アメリカ大使館の正門は榎坂にありますが、近年環状2号線(通称マッカーサー道路)の整備と並行して拡幅された正門前はたいへん広々としています。外堀通りに真っ直ぐ繋がる150メートルほどは、まさに「参道」です。

アメリカ大使館前の「参道」

2025年10月末のトランプ大統領来日時、アメリカ大使館周囲は厳戒態勢であり、それは年末になっても、大袈裟な警備態勢は解かれていませんでした。周辺の写真を撮っていたところ警備にあたる機動隊員3人に取り囲まれ職務質問を受け、無闇に写真を撮るな!と警告されました。暇なんだね、ま、こちらもだけどね。

アメリカ大使公邸入口

アメリカ大使公邸への来訪者は、アメリカ大使館前交差点から南に150メートルほど行った霊南坂に面し、警視庁機動隊とアメリカ軍により守られた厳重な門より入ることになります。

通りを挟んだ向かい側はアメリカ政府関係者御用達のホテル・オークラ。2025年、トランプ大統領はこちらに宿泊しましたね。ここの庭園は都会の真ん中とは思えないほどの美しさです。川越藩松平家上屋敷の名残り。

ホテル・オークラ

アメリカ第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュさん、いわゆるパパ・ブッシュ。任期は1989年から1993年の1期。その奥様は、バーバラ・P・ブッシュさん。彼女は、ホワイトハウスの住人でいた頃、”Millie’s Book:As Dictated to Barbara Bush”という作品を著しました。

ご夫婦が家族同然に思っていたイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのミリー目線で描かれた豊富な写真と軽妙なエッセイによって構成されています。

アメリカで刊行されたオリジナル

エリザベス女王やサッチャーさんをはじめとして、各国の首脳、要人、政府のトップレベルの人物が登場します。すべての方々が一様にミリーを見て心からの笑顔になっています。

エリザベス女王とミリー

ブッシュ大統領は再選をかけた選挙戦で “My dog Millie knows more about foreign affairs than these two bozos” と発言。two bozosは、民主党候補のクリントンとゴアを指しており、間抜けとか役立たずみたいな意味ですね。

書籍編集者をしていた1991年。お付き合いがあった海外著作権を扱う方から、アメリカでベストセラーになっている著作に興味はあるか?との話がありました。現アメリカ大統領夫人、可愛い犬、豊富な写真と簡潔な日記風なエッセイ、どれをとっても断る理由はありませんでした。

1991年12月20日、「ミリー・ブッシュはファーストドッグ」が完成しました。実にタイミングよく、翌月の1月7日から10日まで、アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュ夫妻が来日することになりました。「大統領ゲロ事件」のあったあれです。8日に首相官邸(旧)での歓迎晩餐会が催されたのですが、その席で体調を崩していた大統領が宮沢喜一首相の膝に嘔吐し、昏倒したあの事件です。関係筋によると、皇太子(現天皇陛下)とのテニスで、負けず嫌いの大統領が本気を出し過ぎたせいと言われています。再選をかけた大統領選に敗れた一因も、この時から囁かれ始めた健康問題にもあるとか。

1992年1月8日、首相官邸

夫人のスケジュールは、この事件のせいで変更されることはなく翌9日の午後、バーバラ夫人との面会が実現しました。大使公邸入口では、門の外を日本の機動隊、門の内側をアメリカ海兵隊保安警護隊(Marine Embassy Guard、Marine Security Guard)により厳しい警護体制が敷かれています。

事前にパスをもらっていたこともあり、数分のチェックで通過できました。それでもさすがに場所柄、職務質問されることを覚悟してやや緊張気味に身構えていたのですが、杞憂でした。噴水のある美しく整えられた中庭、その奥に現れる「赤坂のホワイトハウス」の異名通りの、瀟洒な白亜の館。

塀の向こうに僅かにみえています。これが限界でした。

重厚で立派な玄関を入ると明るく広々としたホール。そして、かつて昭和天皇とマッカーサー元帥が会談し、教科書にも載っているあの写真が撮られた、グレートルームが奥に。

通されたのはその部屋ではありませんでした。絵画と書物、美しい窓のある20畳ほどのゲストルームで、夫人と面会いたしました。図書室だったのかも。

後日、ホワイトハウスより送られてきた写真

ペットはいるか?犬種は?幾つか?どんなわんこか?と尋ねられ拙い中学生英語で答えているうちに面会時間を過ぎてしまいました。用意していた質問はほぼ聞けずじまい、本にサインをしていただくことまで失念していました。朗らかで優しく、部屋全体の空気を丸ごと暖かく包み込んでしまうような方でした。

その時いただいたカード。1992年1月9日

霊南坂に吹く1月の冷たい風さえも暖かく、ほんわか気分で坂を下り、職務質問もなく機動隊員の前を横切り、どこをどう通ったのかその後の記憶はまるでありませんでした。

投稿者

carrera

ホワイトハウスのミリー・ブッシュはファースト・ドッグ件のコメント

  1. 職質、、、からの驚きの展開
    素晴らしい経験をされていらっしゃるのですね🥳🇺🇸
    記念のお写真では 若かりし時の貴方も🌹
    なんと貴重な、、、
    多くを語らない印象を放つ方の体験談 もっと聞かせてほしいです。   

    智子

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