かつてはかなりのベビースモーカーでありました。1日に30本以上ということもしばしば。どちらかといえば溜め込まないほうだったので、喫煙は精神安定やストレス緩和のためではなく、完全に依存症であったと思われます。

はじまりは、父親のデスクにあった缶ピース。両切りタバコです。高校2年の春、両親不在の夜。3本くすねました。程なくして、これまで体験したこともない強烈な嘔吐に襲われ悶絶。一晩中、部屋でひとり苦しみ続けました。
きっかけは、ほぼすべて興味本位ということもあり、ここでやめておくべきでした。ところが出した答えは、安易に家の中にあった両切りのピースに手を出したことがいけなかったのだ、でありました。数日後、フィルター付きのショートホープ、いわゆるショッポーをクラスの悪ガキに勧められ、早速そいつと学校裏で点火。それ以来数十年ずっと。

ゆるい授業を抜け出し校舎の垣根を越え、大学そばの早稲田茶房で学ランのまま喫煙&喫茶。未成年の「堂々たる?」喫煙や「節度ある?」非行に対して牧歌的な時代でありました。当時の周囲の大人は概していろいろなことに寛容でした。節度をもち、迷惑をかけなければという最低限の約束事さえ守れればの話ですが。この約束事が守られなくなり、目に余るような事態になった時、そこにルールができ、そしてまともでない一部の奴らが地下に潜るわけです。歴史の常ですね。
当時は、学ランのポケットにコンパクトに納まるショートホープ、値段の手頃さからハイライト、しんせい、エコー、わかば。それと、

1973〜4年に放映されたテレビ・ドラマ「太陽にほえろ!」でジーパンを演じた松田優作。彼が不合理な殉職を遂げたシーンで吸っていたのが、ミスタースリム。格好よかったんですよ。一般的な紙巻きタバコよりも長くてね。それを最後の力を振り絞って口に咥えたところで絶命。すぐに自販機にむかいました。ところが、その頃の自販機の多くは小型。売れ筋銘柄中心の品揃え。

ミスタースリムの扱いは少なく、その日は新宿駅前まで探し求めて彷徨いました。
ミスタースリムは、スーパーキングサイズといって、長さが100ミリ。ちなみに、ショートピースやショートホープが70ミリ。メビウスやマルボロ、キャメル、ハイライトといったよく目にする現在の主流は85ミリです。

そんなわけで、当時は高校生でも容易にタバコが手に入りました。親に頼まれたからと言えば対面の店でも容易に購入できましたし、町の至るところにタバコの自動販売機があり、年齢確認などはなし。タバコ専用の自動販売機は、2000年(平成12年)に日本全国で560万台となり、そのピークを迎えたのです。
そしてその翌年2001年に発生した9.11の日、
僕は禁煙を決意しました。
